『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』【ネタバレ】あらすじ感想を徹底解説!彼女たちが暴いたものは?

2人の女性ジャーナリストがハリウッドの“絶対権力者”の大罪を暴いた、実話に基づく衝撃のスクープサスペンス『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』が全国公開中。

映画の背景にある実話の衝撃事件とは?

本記事では『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』のあらすじ・感想をネタバレありで解説していきます。

この記事を読むのにかかる時間【5分】

くろまめ
くろまめ

やがて世界中を動かすことになった#MeToo 運動の火付けになった事件を映画化!

映画『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』作品情報とあらすじ

ドキドキハラハラ、胸に迫る緊迫シーン◎

観終わった後に考えさせられる○

あらすじ

ニューヨーク・タイムズ紙の記者ミーガン・トゥーイーとジョディ・カンターは、大物映画プロデューサーのワインスタインが数十年にわたって続けてきた性的暴行について取材を始めるが、ワインスタインがこれまで何度も記事をもみ消してきたことを知る。
被害女性の多くは示談に応じており、証言すれば訴えられるという恐怖や当時のトラウマによって声を上げられずにいた。

問題の本質が業界の隠蔽体質にあると気づいた記者たちは、取材対象から拒否され、ワインスタイン側からの妨害を受けながらも、真実を追い求めて奔走する。

https://shesaid-sononawoabake.jp/
作品情報
タイトルSHE SAID/シー・セッド その名を暴け
原題She Said
本編尺129分
製作年2022
製作国アメリカ
監督マリア・シュラーダー
製作総指揮ブラッド・ピット
原作ジョディ・カンター/ミーガン・トゥーイー
出演キャリー・マリガン/ゾーイ・カザン
スタッフ・キャスト

主人公である2人の女性ジャーナリストを演じるのは「プロミシング・ヤング・ウーマン」のキャリー・マリガンと「ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ」のゾーイ・カザン

「アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド」のマリア・シュラーダーが監督を務め、ブラッド・ピットが製作総指揮を手がけました。

#MeToo 運動の火付けになった衝撃の実話とは?

ハリウッド映画界で発覚したセクハラ被害を告発する「#MeToo」運動が勃発して丸5年。まだ記憶に新しい方もいるのでは。

『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』では、このムーブメントが始まったきっかけの事件について語られています。

「#MeToo」運動が拡大したのは2017年10月。「ニューヨーク・タイムズ(New York Times )」と「ザ・ニューヨーカー(The New Yorker)」が、立て続けにハーヴェイ・ワインスタインの長年にわたる性加害を暴露したことがきっかけでした。

ハーヴェイ・ワインスタイン

ハリウッドの敏腕製作プロデューサー。

彼が弟と共同で設立したミラマックス映画社とザ・ワインスタイン・カンパニーは良質の映画を何本も製作し、多くのスターにオスカーをもたらしてきました。

ミラマックス社の代表作:

・グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち

・シカゴ

・コールド マウンテン

・キル・ビル

・アビエイター

ザ・ワインスタイン・カンパニーの代表作:

・シッコ

・愛を読むひと

・キャピタリズム~マネーは踊る~

・イングロリアス・バスターズ ・ジャンゴ 繋がれざる者

両社が手掛けてきた作品はこれまで数々の米国アカデミー賞にノミネート・入賞し、ハーヴェイの名前が俳優たちによる受賞スピーチで感謝リストに挙がったことも少なくありません。

くろまめ
くろまめ

ワインスタインはロード・オブ・ザ・リングの三部作の製作総指揮も務めているよ!
彼がいかに映画界で大物プロデューサーだったかが分かるね。

2017年、ニューヨーク・タイムズの記事がハリウッドをゆるがす大事件に

ことの発端は、ニューヨーク・タイムズの2017年10月5日の記事でした。アシュレイ・ジャッドの証言で始まるその記事は、臨時スタッフの女性の経験、そして、ローズ・マッゴーワンやイタリアのモデルへの和解金の支払いなどがリポートされていました。

最初は小さなリークのような記事で世に出されたこの事件は、その後あっと驚く大女優、人気女優までが続々と被害を訴えたことでハリウッドを揺るがす大事件となります。その一人がカーラ・デルヴィーニュで、カーラはハーヴェイのセクハラ体験を自身のインスタグラムで激白しています。

映画『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』の原作で、報道の背景にあった二人の女性ジャーナリスト(ジョディ・カンターとミーガン・トゥーイー)による被害者への丹念な取材や加害者側との駆け引きの様子を描いたノンフィクション「その名を暴け―#MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い―」はピュリッツァー賞を受賞しています。

くろまめ
くろまめ

事件の詳細が知りたい方は、原作も是非チェックしてみてね!

【ネタバレなし】感想

・緊張感がありテンポの良いストーリー展開

・ハリウッドで現実にあった事件をもとにした本作品に向き合う俳優陣の演技

・リアルタイムで時事性のあるテーマ

ハリウッド業界の構造やベースになった事件のことを知らない人には分かりづらい?

『SHE SAID シー・セッド その名を暴け』の題材となっている報道は約5年前とつい最近で、リアルタイムな事件を扱っているのが特徴。

ストーリー展開のテンポが良く、2人の女性記者が事件の核心に迫っていく様子にドキドキハラハラ。スリルを感じつつ観終わった後は被害女性たちのその後に思いを馳せるような、胸に迫る作品でした。

ちなみにくろまめは、事前知識をあまり持たずに映画を観に行ったのですが、実際の事件を追っているだけあり人物名・会社名などの固有名詞がかなり多く登場し、誰が誰だか分からなくなることも多かったです。

これから観に行く方はある程度この事件の背景知識を入れた上で観に行くことをオススメします!

くろまめ
くろまめ

以下ではさらに詳しくストーリーを解説していくね!

【ネタバレあり】あらすじ・考察

以下では映画の結末に関するネタバレに触れています。映画鑑賞前の方は注意の上お読みください。

起:ニューヨーク・タイムズ紙で働く2人の女性記者

1992年

映画製作現場でアシスタントとして働くローラ・マッデン。海辺の現場で同僚たちと会話する彼女は楽しそうで生き生きとしている。

直後、泣きながら街中を走るローラ。着の身着のままで出てきたのか、服は乱れ薄着で、シャツを手にとにかく走る彼女。

2016年

ニューヨークタイムズ紙でジャーナリストとして働くミーガン・トゥーイーは大統領選に立候補しているドナルド・トランプからセクハラを受けたというある女性の話を取材する。

実名の記事を出すことに、逆にトランプ側から訴えられることはないのかと不安がるその女性に、ミーガンは残念ながらニューヨークタイムズ紙は法的なサポートを行うことはできない、何かあった場合は自分で対処してもらうことになると告げる。

迷いながらも告発記事を出すことにした女性だったが、トランプ側はまったくのデタラメと回答。実名を出したことでメディアが家に押し寄せ、名前も知らない他人から嫌がらせをされるように。

また記事を書いたミーガンにも嫌がらせが。外出中知らない相手からの電話に出ると「殺して川に捨ててやる」と脅迫めいたメッセージが。いつ誰に見られているのか、と身に危険を感じながらも気丈に働くミーガン。

一方同じくニューヨークタイムズ紙でジャーナリストとして働くジョデイ・カンター。2人の幼い子どもがいながら日々働いている。

ドナルド・トランプが大統領に就任したことを伝える報道各社。セクハラの告発は事態を変えることはなく、ミーガンは初めての子どもの出産で産休に入る。

承:ハリウッドの闇、沈黙する被害女性たち

企業のハラスメントについて、新しく取材を始めるジョディ。早速情報を集めているとハリウッド映画業界に鎮座する製作プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインについてのリークが入る。

ジョディはあるイタリア人モデルが商談中にワインスタインから身体を触られたとしてワインスタインを訴えたことを知るが、起訴されなかったことに疑問を抱く。

当時の担当の検察官に電話をかけて不起訴にした理由を聞くが、「事件性はなかった」「これ以上首を突っ込まないほうが良い」と告げられる。

ワインスタインと一緒に仕事をしていた女優たちに話を聞こうとするジョディだったが、皆が口をつぐんでしまう。

そんな折、ジョディの下に取材をしていた女優の一人ローズ・マッゴーワンから電話が入り、衝撃の事実が明かされる。彼女は23歳の時に映画祭でワインスタインに部屋に呼び出された。ビジネスの話だと思いワインスタインの部屋に来たローズにワインスタインはジャグジーを持っているから見に来いと誘われ、その部屋に入ろうとした瞬間押し込まれ、レイプされたという。

あまりのことに心が追い付かず、必死で何も考えまいとエクスタシーを感じているふりをして終わるのをひたすら待ったという彼女の告白に言葉が出ないジョディ。

その後ローズは周りの人たちに起こった出来事を話したが、誰も何もしてくれなかったという。

もう一人女優のアシュレイ・ジャッドからも話を聞くことができたジョディ。アシュレイも同じく、ビジネスのミーティングだと思いワインスタインの部屋に行くとマッサージを頼まれたり自分がシャワーを浴びるところを見ていてほしいなどの性的な要求をされる。

それらの要求を繰り返し断ったところ、オファーを貰えるはずだった仕事がキャンセルされたと明かしたアシュレイ。自分はまだ余裕があったから断れたが、同じような目に遭っている若手女優はたくさんいるという。

自身のキャリアへの影響を懸念し実名を出しての告発はしようとしない女優たち。

困ったジョディはミーガンに「以前はどうやって被害者の信頼を得て記事にすることが出来たのか」と相談する。

無事子どもが生まれたミーガンは産後うつに悩まされており、仕事に打ち込もうと職場に復帰する。

コンビを組むことになったジョディとミーガン。女優たちでさえこうなのに、当時ワインスタインの会社で働いていた従業員たちはどうだったのか?とミラマックス社(ワインスタイン兄弟が設立した製作・配給会社)の元従業員へと取材を広げることに。

早速ミーガンは90年代当時、ミラマックス社でワインスタインの元でアシスタントとして働いていたが突然姿を消した女性の家を訪ねる。女性は30年間誰かが来ることを待っていたが、やはり話すことは出来ないと涙ながらに訴える。

ジョディは女優のグウィネス・パルトロウからかつてワインスタインに言うことを聞かなければ仕事を失う、とセクハラを受けたと電話をもらう。

さらにイタリア人モデルのアンブラから、ワインスタインが彼のホテルの部屋に無理矢理連れ込もうとする様子が記録された録音音声を聞く。

また元ミラマックスの従業員に会うことが出来たジョディは、かつてワインスタインのアシスタントとして働いていたロウィーナ・チウ、ゼルダ・パーキンス、ローラ・マッデンに会うべきとアドバイスをもらい早速ロウィーナの自宅があるLAに向かう。

ロウィーナは留守にしていたが夫に会えたジョディ。話が進むにつれロウィーナから夫は何も聞かされていないことに気が付き、慌てて彼女への手紙を託して場を離れる。

その後ローラ・マッデンに電話をするが何も話すことはないと切られてしまう。

ゼルダの証言

最後の一人、ゼルダに会うためロンドンに飛ぶジョディ。この話をしてもどうせワインスタインに止められてしまう、と躊躇するゼルダにそうはならないように努力すると約束するジョディ。

ゼルダは当時秘密保持契約を結んでしまったためオンレコには出来ないと前置きをしつつ、当時自分と、同じくアシスタントとして働いていたロウィーナの身に何が起きたかを語りだす。

当時ワインスタインの下で働くアシスタントはワインスタインの個人的な仕事まで頼まれており、例えば朝部屋に行って彼を起こしに行くことも仕事の一つだったという。

ベッドに引き入れようとするワインスタインをかわさなければいけないことは日常茶飯事で、当時の先輩からのアドバイスはワインスタインに会うときはなるべく分厚い上着を着ていくこと、だった。

他にも従業員への虐めや精神的な暴力が横行しており、誰もがワインスタインを恐れて何も言えなかったという。

そんな最中、仕事でヴェネチア映画祭に行ったゼルダはロウィーナと出会い仲良くなる。

ある時ロウィーナがワインスタインの部屋に呼ばれたことを知り心配するゼルダだったが、ワインスタインはかつてアジア系は嫌いだとの発言をしていたため恐らく何も起こらないだろうと思っていた。

ところが翌朝取り乱しながらゼルダの部屋にやってきたロウィーナ。最悪の事態が起きてしまったと思ったゼルダは抗議をしに取引先と商談中であったワインスタインの部屋に。

大人しくゼルダに従ったワインスタインは、神と妻子に誓って何もしていないという。

何かあった時に必ずワインスタインが使うその言葉に、ロウィーナへの暴行を確信したゼルダ。

2人は帰国し、ワインスタインの会社を辞めることに。

当然ワインスタインを訴えようとしたゼルダだったが弁護士に、レイプの場合はその場で通報していなければ立件は難しい、示談するしかないと諭される。

示談に応じる代わりにワインスタインにも「2年以内にまた同じ訴えがあった場合はディズニー社は彼を解雇すること」「セラピーを受けること」などの交換条件を飲ませることで署名をしたゼルダだったが、ワインスタイン側に最終合意をした書面の開示を求めるも拒否されたという。

そんなやり方は有り得ない、と絶句するジョディに、問題は加害者側を守る法制度にあると伝えるゼルダ。

ワインスタインの会社を辞めたあとはどうしていたのかジョディに聞かれたゼルダは、映画界からは離れて馬の仕事をしていたと話す。

ゼルダは最後、当時の書類を渡しその場を後にするのだった。

ローラの証言

一度ジョディの取材を断ったローラは自宅で子どもたちと過ごしていたところ、かつてのミラマックス社の同僚から電話が。

「当時ワインスタインは心が広くて良かった」と昔を懐かしむ同僚に「私の記憶では違うけど」と苦々しく答えるローラ。

その元同僚はニューヨークタイムズ紙から接触があったかをローラに尋ね、一度連絡があったが何も話していないというローラにそのまま誰とも話さないように、と釘を刺す。

不躾で唐突な連絡に「私は話したい人と話す」と電話を切ったローラは、早速ジュディの携帯に電話を掛けるのだった。

ついにローラの話を聞くことが出来たジュディ。ローラはうっすらと涙を浮かべながら当時を語り出す。

映画製作に夢を抱きアシスタントとしてミラマックス社で働いていたローズはワインスタインのアシスタントに。ある朝部屋に呼ばれマッサージをしてほしいという彼の要求を一度は断ったものの、「アシスタントはみんなやっている」「性的な要求では全くない」というワインスタインの言葉に、急に自分がただ勘違いをしているのかと恥ずかしさを感じる。

緊張をほぐすためにまずは君のマッサージをしてあげようというワインスタインに、服を脱げと命じられそのまま従ったローズ。自慰行為を始めたワインスタインに一緒にシャワーを浴びようと言われ、泣きながらシャワーを浴びるローズ。泣き声に苛立つワインスタインが一度シャワー室を出ると鍵をかけ、しばらく籠ったあとにシャワー室を出、服を手に部屋を出て全速力で走ったという。

人生であんなに早く走ったことはない、というローズ。その出来事に何を思いましたかというゼルダの問いかけに、「雪辱」とただ答えた一言答えたローズ。その出来事がその後の人生の方向性を決定づけてしまったように感じる、と語ったのだった。

ジョディは夜中、当時ワインスタインの会社で会計士を担当していたアーウィン・レイタ―はワインスタインを憎んでいるとの匿名の電話を受け、アーウィンに会いに行く。

示談金は会社の経費として使われたのかと聞くジョディに、なぜ90年代のことばかりを聞くのか、もっと最近の示談については聞かないのかと尋ねる。示談はつい最近まであったのか、これまで一体どれだけの事件があったのかと驚くジョディとミーガンだった。

和解をしようと接触してきたワインスタインの弁護士・ラニーに、把握している示談は何件あるのかを聞き出そうとするミーガン。当初は答えられなかったラニーだったが、やがて自分が把握しているのは8件ほどだと明かす。

ロウィーナの証言

ジョディの下にロウィーナから、ニューヨークにいるから話をしたいと連絡が入る。早速彼女の元を訪れヴェネチアで何があったのか、問うジョディ。

その日、一晩中ワインスタインと台本を確認する仕事を任せられ、タイツを2枚履いてワインスタインの部屋に向かったというロウィーナ。

彼女の身体に触ろうとするワインスタインを避け続け、何とか仕事を続けようとしたロウィーナだったがついにワインスタインに組みしだかれてしまう。

まるでゲームで遊んでいるかのようだった、というワインスタインはロウィーナの身体を押さえつけて両足を開き、「一突きだけさせてくれ」と言い放ったという。

敬虔なキリスト教徒であったロウィーナはあまりのショックと恐怖から泣きながらゼルダの部屋に駆け込み、ゼルダは勇敢に立ち向かったが結局2人とも会社を去ることに。

その後、ミラマックス社の香港支社で働き始めたロウィーナだったが、誰にも何も話せないことに深い絶望を感じ、自殺を図ったと話したのだった。

会計士の告発

ジョディは元会計士のレイタ―に再会し、ワインスタインがどのような暴行を働いたのかを詳細に記した文書を見せる。

ここまでのことをしていたとは知らなかった、ただの女遊びだと思っていたとショックを受けた様子のレイタ―は自分の携帯をジョディに見せ、好きに使ってくれと言い残す。

それは2015年にミラマックス社で回覧された元社員からのワインスタインに対する暴行疑惑を詳細に記した内部文書だった。

転:“She said” 彼女たちの告白

ニューヨーク・タイムズ紙と同じく、ニューヨーカー誌も同じくワインスタインを追っていることが分かり、これまでのジョディとミーガンの取材で明かされたことをベースにすぐにでも記事を発表しようという編集部。

このままでは記事の真実性が足りない、せめて誰かが実名を出してくれるまで待てないかと編集部に掛け合うジョディだったが、もう待てないと退けられ悔しがる。

ジョディをなだめるミーガン。2人は記事を書き始める。

そんな折、ジョディに女優のアシュレイ・ジャレッドから電話が。

一人の女性として、クリスチャンとして、実名を出した記事を出すことに了承するとのことだった。

思わず泣きそうになったジョディはアシュレイに感謝しながら、編集部のみんなに「She said(彼女は言ったよ)」と伝えミーガンと抱き合うのだった。

ワインスタイン側はニューヨークタイムズ誌が出そうとしている記事に声明を出し、告発をしようとした女優たちの信用を失墜させようと動いていた。

ジョディとミーガンは記事を書き終え、さらにローラからも記事に自分の名前を出してよいと連絡が入る。

自分は秘密保持契約に署名をしていないため話したことはすべて記事にして良い、自分も声を挙げたいという彼女の電話に喜ぶ編集部。

結:ワインスタインは告発され刑務所に

2017年10月5日、ジョディとミーガン、2人の記者によって発表されたニューヨークタイムズの記事は発表後次々と有名女優たちが自分もセクハラの被害にあったことを明かしたことで、ハリウッドを揺るがす一大事件に。

ワインスタインは記事が出た同月に同社から解雇。翌年5月には過去の強制暴行や強姦、性的犯罪行為、性的虐待などの容疑でニューヨーク市警から逮捕された。2020年6月にニューヨークの裁判所は禁固23年の刑を言い渡し、ワインスタインはかつて映画の仕事を始めたニューヨーク州バッファローの刑務所に収監される。

2022年6月8日、イギリス検察当局が1996年8月にロンドンで女性に対し2件の暴行を行った容疑でワインスタインを起訴、さらに同年、ロサンゼルスでも2004年〜2013年にかけて行った強姦など11件の罪で起訴され、いまも裁判は続いている。

この事件はアメリカ社会で大きな衝撃を与え、性暴力・セクハラを受けていた女性たちが声を上げる「#MeToo運動」と呼ばれる世界的な社会現象へとつながった。

まとめ:『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』彼女たちが暴いたもの。地道な取材のリアル

今回は『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』を紹介しました。

2017年にニューヨーク・タイムズ紙に掲載され、翌年ピューリッツァー賞を受賞した衝撃のスクープ記事を映画化。ベースとなった記事は、大物映画プロデューサーだったハーヴェイ・ワインスタインの数十年に及ぶ悪行を告発し、世界中の様々な業界における性犯罪告発運動の活性化につながっていきます。

本作ではもちろん記事化に到るまでにはジャーナリストたちの懸命な取材があり、それには被害女性たちの協力が不可欠でした。その調査報道は一体どんなものだったのか? という部分を硬派に、リアルに描き出しています。

結果世界中の女性を動かすことになったニューヨークタイムズ紙の2人の記者、ジョディ・カンターとミーガン・トゥーイーですが本作を観て感じたのは当たり前ですが2人もジャーナリストの前に一人の女性であり、スーパーウーマンではないということ。

2人とも同じく幼い子どもを育てている母親であり、私生活もしっかりと描かれているのがリアルでした。

迷いながらも自分の身に何があったかを告発して事件化させた被害女性たち。そのうちの一人、ローズが告発を決意した理由として自分の娘にこの世界は暴力を受けることが当たり前であると思ってほしくないと語っていたのが強く心に残りました。

続世がより良くなるために、自分を犠牲にして戦ったたくさんの女性に敬意を払うのと同時に、#MeToo運動 をきっかけに今後少しずつでも女性たちが働く環境がより良いものになることをただ願うばかりです。

映画をまだ観てないという方は是非劇場でチェックしてみてくださいね!

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